No.U-14    <頒布室へ戻る>  


 「枯れ野に問う」 



       



      

■ 着想
 これまで多くの箱を創ってきました。それぞれに被せの持ち味があるのですが、蓋はかぶさらなくても、印籠のようにぴっちりと収まり込まなくともよいのではないかという誘惑が頭をもたげました。滑り蓋です。蓋部分と、身の部分をまったく別の材で加工して、軽みのある容れ物を作ってみようとしたのです。

■  胎・つまみ
 まず最初に貴重な古代杉を板状に加工し、木目の魅力を引き出し、包容力のある緩やかな形を生み出しました。板の表は摺り漆で艶上げし、身となる部分は檜の塊で、蓋に合わせた身という大胆な発想です。身には容れ物空間を作り出すために大きく彫り進み、仕上げもあえて緩やかなものとしました。底部には麻布を貼り、あえて布目を生かした素朴なつくりとしました。つまみ部分は滑り構造の心棒が通っていますが、この作品の核となる部分ですので、ブナ材の木球を薄く切り取り、螺鈿と置平目の細かい仕事でキラッと光る重点化考えてみました。

■ 技法
 蓋のピン部分は丸玉に長い足を差し込んで身にも深く入り込んでいる。かなり精度の高い仕事を要求されました。

■ サイズ
 18×10×6 p

■ コメント
 つまみボタンの形状や色味を作り出すことは面白く、まだまだ可能性がありそうで、蓋や身と出会ってないつまみがたくさんできつつあります。

■ 販売価格
 27万円